対象疾患
共通のご案内(重要)
本ページは、当院でご相談いただくことの多い症状・疾患について、患者さまが理解しやすいように整理した説明文です。実際の診断は、症状の経過、生活状況、診察所見、必要に応じた検査等を総合して医師が判断します。また、同じ病名でも症状の出方や適した治療は個人差があります。
自己判断で服薬を中断したり、受診を先延ばしにしたりせず、気になる症状が続く場合は早めにご相談ください。
※緊急性が高い状態(強い希死念慮、急激な興奮や混乱、重い幻覚妄想、極端な不眠が続く等)が疑われる場合は、速やかな受診や緊急窓口の利用をご検討ください。
対象疾患
検査など
うつ病
うつ病は、気分の落ち込みだけでなく、意欲低下、集中力の低下、睡眠や食欲の変化、疲れやすさなどが一定期間続き、家庭生活や仕事・学業に支障が出る病気です。ストレスをきっかけに始まることもありますが、必ずしも明確な原因が見つからない場合もあります。
また、頭痛・胃の不快感・動悸などの身体症状が前面に出て、内科受診を繰り返したのちに背景としてうつ状態が見つかることもあります。治療では、症状の程度と生活上の負荷を評価し、休養・生活調整、薬物療法、カウンセリング(精神療法)等を組み合わせて回復を目指します。

よくある症状
- 気分が落ち込み、憂うつが続く(涙もろい、悲観的になる)
- 興味や楽しみの低下(好きだったことが楽しめない)
- 意欲低下、集中困難、判断力の低下(仕事のミス増加、決められない)
- 睡眠の変化(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・過眠)
- 食欲低下/増加、体重変化、疲労感、倦怠感
- 焦燥感(そわそわして落ち着かない)や、身体症状(頭痛、動悸、胃腸症状)
- 希死念慮(死にたい気持ち)、自傷の衝動(※緊急性が高いサイン)
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 朝の準備ができない、出社/登校が難しい、遅刻欠勤が増える
- 家事・育児が回らず自己否定が強まる(負のスパイラル)
- 人に会うのが億劫になり、連絡を返せない、孤立しやすい
- 集中が続かず作業効率が落ち、評価低下やトラブルにつながる
診察で確認するポイント
- 症状の開始時期、2週間以上続いているか、波があるか
- 睡眠・食欲・体重・活動量の変化、日中の機能低下の程度
- ストレス要因(職場、人間関係、家庭、喪失体験など)と回復可能性
- 双極性障害(躁/軽躁)の既往や家族歴、薬の反応(見立てに重要)
- 希死念慮や自傷の有無、安全確保(必要時は緊急対応)
再発予防・セルフケアのポイント
- 睡眠の確保(就寝起床時刻をなるべく一定に)
- 『頑張りすぎのサイン』を早めに察知(疲労・焦燥・不眠が続く等)
- 予定を詰めすぎない、1日の中に回復の時間(休憩・趣味)を組み込む
- 再発しやすい状況(長時間労働、人間関係の過負荷)に対する環境調整
実例(ご相談例)
- 朝、起き上がれず、会社に行こうとすると涙が出る。以前できていた業務ができない。
- 寝つけない日が続き、食欲が落ちて体重が減った。何をしても楽しくない。
- 身体の不調(頭痛・動悸・胃痛)が続くが検査では異常がなく、気分の落ち込みも強くなってきた。
治療の考え方
- 休養と負荷調整
-
まずは心身の回復に必要な休養を確保します。勤務量・残業・夜更かし等の負荷が大きい場合は、休職や業務調整を含めて検討します。
- 薬物療法
-
症状(抑うつ、不安、不眠、食欲低下など)と副作用リスク、既往歴を踏まえて選択します。開始後は効果と副作用を確認しながら調整します。
- カウンセリング/精神療法
-
症状が落ち着いてきた段階で、考え方のクセや再発の引き金を整理し、対処行動を増やすことが有効な場合があります。
- 生活リズム
-
睡眠・食事・活動のリズムを整え、短時間の散歩や軽い運動から再開し、回復に合わせて段階的に増やします。
補足・注意点
うつ症状は多くの病気や状態(適応障害、不安障害、双極性障害、身体疾患など)でも見られます。診断と治療方針は総合的に判断します。
適応障害
適応障害は、職場・学校・家庭などの『明確なストレス要因』に反応して、気分の落ち込み、不安、焦り、怒りっぽさ、不眠、食欲低下などが生じ、社会生活に支障が出る状態です。
ストレス要因が軽減すると症状が和らぐことも多く、環境調整(休職・配置転換・業務調整など)と、症状への治療を組み合わせて回復を目指します。ただし、うつ病・双極性障害・統合失調症など他の診断が適切な場合はそれが優先されます。

よくある症状
- 抑うつ気分、不安、緊張、焦り(特定の場面で悪化しやすい)
- 怒りっぽさ、涙もろさ、気分の波、落ち着かなさ
- 不眠/過眠、食欲低下、腹痛、頭痛、動悸など
- 職場(学校)に近づくと症状が強くなる』など状況依存性
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 出社前に腹痛・吐き気・動悸が出て遅刻や欠勤が増える
- 業務のパフォーマンスが下がり、自己評価の低下や人間関係悪化につながる
- 休日は比較的楽だが、日曜夜〜月曜に症状が強くなる
診察で確認するポイント
- ストレス要因の内容(異動、上司、過重労働、ハラスメント、家庭問題等)
- 症状の開始時期(ストレス要因との時間的関連)
- 職場/学校から離れたときの回復度合い
- うつ病・双極性障害など他疾患の可能性(症状の持続や広がり)
- 安全性(希死念慮、衝動性)、支援資源(家族、職場、人事)
再発予防・セルフケアのポイント
- 環境変化の時期(異動・昇進・入社・転職)に睡眠と休息を優先する
- ストレスサイン(不眠、食欲低下、腹痛、焦燥)の早期察知と相談
- 抱え込みやすい方は、上司・人事・家族など支援者と情報共有する
- 復帰時は『いきなり100%』に戻さず段階的に負荷を上げる
実例(ご相談例)
- 異動後から動悸と不安が続き、朝になると腹痛で動けない。休日は少し楽。
- ハラスメントを受けてから眠れず、職場に近づくと吐き気がする。
- 入社後に緊張が続き、連休明けに強い倦怠感と意欲低下が出た。
治療の考え方
- 環境調整
-
ストレス要因の影響を減らすことが回復の鍵です。休職、勤務軽減、配置変更、業務量調整などを検討します。
- 薬物療法
-
不眠、不安、抑うつなどの症状に対して、必要最小限で用い、経過に応じて調整します
- カウンセリング
-
ストレスの受け止め方・対処行動を整理し、再燃しにくい働き方やコミュニケーションを具体化します。
- 再開支援
-
回復段階に合わせ、通勤練習、勤務時間の段階的延長、業務内容の調整など『段階的な復帰』を検討します。
双極性障害
双極性障害は、気分の落ち込み(抑うつ状態)だけでなく、気分が高揚したり活動性が増したりする躁状態/軽躁状態を繰り返す病気です。
抑うつ期だけを見るとうつ病と区別が難しいことがあり、これまでの経過(気分の波、睡眠、行動、浪費など)を丁寧に確認することが重要です。治療は、気分の波を安定させる薬物療法と、睡眠・生活リズムの安定、再発予防のセルフモニタリングが中心になります。

よくある症状
- 【躁/軽躁】睡眠が少なくても活動できる、気分が高揚する、話が止まらない、考えが次々浮かぶ
- 【躁/軽躁】自信過剰、怒りっぽさ、衝動的な行動(浪費、過度な飲酒、対人トラブル)
- 【抑うつ】意欲低下、興味の低下、疲労感、集中困難、希死念慮
- 気分の波が周期的に起こる、または混在する(焦燥+抑うつ等)
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 躁状態で予定を詰め込みすぎて燃え尽き、抑うつで動けなくなる
- 衝動的な発言・行動が増え、人間関係や金銭面で問題が起こる
- 睡眠リズムが乱れると再燃しやすい(夜更かし・徹夜・交代勤務など)
診察で確認するポイント
- これまでに『眠らなくても平気な時期』『活動が増えた時期』があったか
- 浪費・衝動行動・易怒性・対人トラブルの有無
- 抗うつ薬で不眠や焦燥が強まった経験の有無
- 家族歴(気分障害、依存症など)と生活リズム(睡眠・飲酒)
- 現在の安全性(衝動性、希死念慮)
再発予防・セルフケアのポイント
- 睡眠を最優先(徹夜・夜更かし・長時間残業を避ける)
- 『軽躁のサイン』(多弁・活動増・浪費・怒りっぽさ)を早めに捉える
- 気分・睡眠・活動量を記録し、波を可視化する
- ストレスが強い時期は予定を減らし、休息を先に確保する
実例(ご相談例)
- 気分が良い時期に仕事を詰め込み、ほとんど寝ずに活動した後、急に動けなくなった。
- うつの治療を始めてから落ち着かず、眠れず、イライラが強くなった。
- 浪費が増え、対人トラブルが続いた後に強い抑うつが来る。
治療の考え方
- 薬物療法
-
気分安定薬等を中心に、躁/抑うつのバランスを見ながら調整します。症状により睡眠の治療も重要になります。
- 経過の重視
-
『今の気分』だけでなく、数か月〜年単位の波を振り返り、再燃パターンを特定していきます。
- 心理教育
-
病気の特徴を理解し、睡眠やストレスの影響、早期サインを把握することで再発予防につなげます。
- 生活リズム
-
就寝起床時刻の固定、飲酒の見直し、過労の回避が重要です。
産後うつ病
双極性障害は、気分の落ち込み(抑うつ状態)だけでなく、気分が高揚したり活動性が増したりする躁状態/軽躁状態を繰り返す病気です。
抑うつ期だけを見るとうつ病と区別が難しいことがあり、これまでの経過(気分の波、睡眠、行動、浪費など)を丁寧に確認することが重要です。治療は、気分の波を安定させる薬物療法と、睡眠・生活リズムの安定、再発予防のセルフモニタリングが中心になります。

よくある症状
- 【躁/軽躁】睡眠が少なくても活動できる、気分が高揚する、話が止まらない、考えが次々浮かぶ
- 【躁/軽躁】自信過剰、怒りっぽさ、衝動的な行動(浪費、過度な飲酒、対人トラブル)
- 【抑うつ】意欲低下、興味の低下、疲労感、集中困難、希死念慮
- 気分の波が周期的に起こる、または混在する(焦燥+抑うつ等)
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 躁状態で予定を詰め込みすぎて燃え尽き、抑うつで動けなくなる
- 衝動的な発言・行動が増え、人間関係や金銭面で問題が起こる
- 睡眠リズムが乱れると再燃しやすい(夜更かし・徹夜・交代勤務など)
診察で確認するポイント
- これまでに『眠らなくても平気な時期』『活動が増えた時期』があったか
- 浪費・衝動行動・易怒性・対人トラブルの有無
- 抗うつ薬で不眠や焦燥が強まった経験の有無
- 家族歴(気分障害、依存症など)と生活リズム(睡眠・飲酒)
- 現在の安全性(衝動性、希死念慮)
再発予防・セルフケアのポイント
- 睡眠を最優先(徹夜・夜更かし・長時間残業を避ける)
- 『軽躁のサイン』(多弁・活動増・浪費・怒りっぽさ)を早めに捉える
- 気分・睡眠・活動量を記録し、波を可視化する
- ストレスが強い時期は予定を減らし、休息を先に確保する
実例(ご相談例)
- 気分が良い時期に仕事を詰め込み、ほとんど寝ずに活動した後、急に動けなくなった。
- うつの治療を始めてから落ち着かず、眠れず、イライラが強くなった。
- 浪費が増え、対人トラブルが続いた後に強い抑うつが来る。
治療の考え方
- 薬物療法
-
気分安定薬等を中心に、躁/抑うつのバランスを見ながら調整します。症状により睡眠の治療も重要になります。
- 経過の重視
-
『今の気分』だけでなく、数か月〜年単位の波を振り返り、再燃パターンを特定していきます。
- 心理教育
-
病気の特徴を理解し、睡眠やストレスの影響、早期サインを把握することで再発予防につなげます。
- 生活リズム
-
就寝起床時刻の固定、飲酒の見直し、過労の回避が重要です。
睡眠障害(不眠症)
睡眠障害は、寝つきの悪さ(入眠困難)、途中で目が覚める(中途覚醒)、早朝に目覚める(早朝覚醒)、眠っても休まらない(熟眠障害)などが続き、日中の疲労感や集中困難、気分の不調につながる状態です。不眠は単独で起こることもあれば、うつ病・不安障害などの精神疾患、身体疾患、薬剤、生活リズムの乱れが背景にある場合もあるため、原因の見立てが重要です。
また、以下のような睡眠障害もありますので、医師にご相談ください。ナルコレプシー/睡眠時無呼吸症候群/概日リズム睡眠障害/下肢静止不能症候群(レストレスレッグス症候群;むずむず足症候群)

よくある症状
- 入眠困難(布団に入っても眠れない)
- 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
- 早朝覚醒(予定より早く目が覚め再入眠できない)
- 熟眠感の欠如(眠ったのに疲れが取れない)
- 日中の眠気、注意力低下、イライラ、抑うつ気分
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 仕事のミス増加、事故リスク上昇、運転や機械操作が不安
- 慢性的な疲労で活動量が低下し、気分も落ち込みやすい
- 『眠らなければ』という焦りが強まり、さらに眠れなくなる
診察で確認するポイント
- 不眠のタイプ(入眠・中途・早朝・熟眠)と開始時期
- 生活リズム(就寝起床時刻、昼寝、カフェイン、飲酒、スマホ)
- いびき・呼吸停止・日中の強い眠気等(睡眠時無呼吸などの可能性)
- うつ・不安、身体疾患、服用薬の影響
- 安全性(眠気による事故リスク)
再発予防・セルフケアのポイント
- 就寝前のスマホ・仕事を減らし、入眠の儀式(入浴・ストレッチ等)を作る
- 休日の寝だめを最小限にし、起床時刻のズレを小さくする
- 『眠れない夜があっても大丈夫』という許容(焦りが不眠を悪化させる)
- 強い眠気が日中にある場合は運転を避け、早めに相談する
実例(ご相談例)
- 布団に入ると考え事が止まらず、2〜3時間眠れない。
- 夜中に何度も起きて、その後眠れず、日中ぼんやりする。
- 休日に寝だめしてしまい、平日の睡眠が崩れて悪循環になった。
治療の考え方
- 睡眠衛生指導
-
就寝起床の固定、昼寝の調整、カフェイン・飲酒の見直し、寝室環境の調整などを行います。
- 薬物療法
-
不眠のタイプに合わせて選択し、効果と副作用(翌日の眠気、ふらつき等)を確認しながら調整します。
- 心理的アプローチ
-
睡眠への過度な努力や不安(『眠れないと終わりだ』)が強い場合、認知行動療法的な介入が有効なことがあります。
- 背景疾患の治療
-
うつ・不安・痛み等が背景の場合は、その治療が睡眠改善につながることがあります。
不安障害
(パニック障害/強迫性障害/社交不安障害 など)
不安障害は、過度な不安や恐怖が持続し、生活や仕事に支障が出る状態です。不安は誰にでも起こる自然な反応ですが、回避行動が増えることで生活範囲が狭まり、症状が固定化しやすくなります。代表的な疾患としてパニック障害、強迫性障害、社交不安障害などがあります。

実例(ご相談例)
- 電車や人混みで動悸が出て外出を避けるようになった(パニック症状)
- 鍵やガスの確認が止まらず、外出に時間がかかる(強迫症状)
- 会議の発表が怖く、前日から眠れず欠勤につながる(社交不安)
治療の考え方
- 薬物療法
-
症状の強さと生活への影響を踏まえて選択し、経過に応じて調整します。
- 心理療法
-
不安の仕組みを理解し、回避を減らす練習(段階的曝露)や、思考の偏りの修正などを検討します。
- 生活調整
-
睡眠不足・過労・カフェインや飲酒など、不安を増幅させる要因を見直します。
統合失調症
統合失調症は、幻覚(幻聴など)や妄想、思考のまとまりにくさが起こり、生活機能に影響が出る病気です。治療は薬物療法が中心で、再発予防と生活の安定を重視します。健康なときには存在しなかった症状が出現する「陽性症状」と、健康なときにもあったものの機能が低下してしまう「陰性症状」があります。
「陽性症状」では、幻覚や幻聴、妄想など、ないはずのものがあたかも存在しているように感じられ、信じ込んでしまったり、考えがまとまらないために他の人からは脈絡がない発言をしてしまうことがあります。また、自分が自分でないような感覚や、ひどく緊張してしまうような状態も見られます。
「陰性症状」では、意欲や気力が無くなり、感情の変化が少なく、楽しいと感じたり、うれしいと感じることが減ってしまいます。身の回りのことも気にすることが出来なくなり、日常生活が上手く回らなくなります。
症状の経過としては、前駆期、急性期、慢性期とあり、どのような症状が患者さんに影響するかは異なります。前駆期では、落ち着きのない状態や、憂鬱な気分、集中力が続かない、仕事の能率が低下する等の症状で、一見、統合失調症の症状であるとは分かりづらいものです。急性期では、上記の陽性症状が多くの方に見られます。また、慢性期には上記の陰性症状が生じる場合が多いと言えます。

よくある症状
- 幻聴・妄想
- 不眠・不安・対人過敏
- 意欲低下・引きこもり
- 思考のまとまりにくさ
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 外出や就労が難しくなる
- 生活リズムが崩れる
- 服薬中断で再発しやすい
診察で確認するポイント
- 症状の経過
- 幻覚妄想の内容と影響
- 睡眠・生活状況
- 安全性と支援体制
再発予防・セルフケアのポイント
- 睡眠の乱れを放置しない
- 服薬を自己中断しない
- ストレス過負荷を避ける
- 支援者と再発サインを共有
実例(ご相談例)
- 悪口が聞こえる気がして外出が怖い。
- 監視されていると感じて落ち着かない。
- 意欲が出ず身の回りのことができない。
治療の考え方
- 薬物療法
-
前駆期・急性期・慢性期、いずれの時期においても薬物療法が中心となります。
- 心理教育/支援
-
再発サインの共有、生活支援を行います。
- 連携
-
必要時に福祉資源や支援機関と連携します。
大人の発達障害
(ADHD/ASD/学習障害LD)
発達障害には、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム障害)、LD(学習障害)など、いくつかの分類があります。
発達障害は、生まれもって脳機能の一部に障害があり、考え方や行動が他の人と違う面があるために、学校や仕事、家庭などで過ごすことが難しくなってしまうものです。学校生活で困っていることや上手くいかないことが見過ごされたり、本人も気づかなかったりして、社会に出てから問題が表面化し、大人になってから職場や家庭での困りごとを契機に気づかれることがあります。
特性に合った環境調整と支援、必要に応じた治療で生活を整えます。

よくある症状
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- 主な症状(特性)として、不注意と多動・衝動性の2つが挙げられます。不注意では、気が散りやすく、ケアレスミスが多い、モノを忘れたり無くしてしまうことなどがあります。職場では、忘れ物が多かったり、計画を立てることに苦労することや、時間に間に合わせて行動することに難しさを感じてしまうなどで見られるかもしれません。
- 多動・衝動性では、落ち着いていることが難しかったり、パッと思いついたことを話してしまうことなど、相手に良く思われない行動をしてしまいます。職場では、気が散りやすく仕事に集中できないことや、何か指摘されるとすぐに怒ってしまうことなどがあるかもしれません。多動に関しては、年齢を経るごとに見られなくなる場合も多いようです。
- 主な症状(特性)として、不注意と多動・衝動性の2つが挙げられます。不注意では、気が散りやすく、ケアレスミスが多い、モノを忘れたり無くしてしまうことなどがあります。職場では、忘れ物が多かったり、計画を立てることに苦労することや、時間に間に合わせて行動することに難しさを感じてしまうなどで見られるかもしれません。
- ASD(自閉症スペクトラム障害)
- 主な症状(特性)として、コミュニケーション・社会性の問題、想像することへの難しさ、興味の限局、過度なこだわりの問題が挙げられます。社会性の問題では、場の雰囲気を上手く読み取ることが出来ず、友人関係、職場での同僚・上司と上手く関係を作ることが出来ないことがよく見られます。独特な表現や理解をしてしまい、周囲から理解されないこともあります。職場などでは、暗黙のルールが理解できなかったり、人との適切な距離がとれないことや、社会的なマナーが身についていないと見られることもあります。また、興味や行動が限定されているため、他の人にとって重要なことが自分にとっては重要でないために軽視してしまう結果、周囲から反感を買ったり、自分の想定と異なることが生じると混乱してしまうこともあるでしょう。職場では、状況の変化に対応できずまた、感覚が過敏・鈍感であることも特徴として挙げられています。
- 主な症状(特性)として、コミュニケーション・社会性の問題、想像することへの難しさ、興味の限局、過度なこだわりの問題が挙げられます。社会性の問題では、場の雰囲気を上手く読み取ることが出来ず、友人関係、職場での同僚・上司と上手く関係を作ることが出来ないことがよく見られます。独特な表現や理解をしてしまい、周囲から理解されないこともあります。職場などでは、暗黙のルールが理解できなかったり、人との適切な距離がとれないことや、社会的なマナーが身についていないと見られることもあります。また、興味や行動が限定されているため、他の人にとって重要なことが自分にとっては重要でないために軽視してしまう結果、周囲から反感を買ったり、自分の想定と異なることが生じると混乱してしまうこともあるでしょう。職場では、状況の変化に対応できずまた、感覚が過敏・鈍感であることも特徴として挙げられています。
- LD(学習障害)
- LDの方は、他の面では問題がないにも関わらず、ある特定の分野の能力のみが極度に苦手です。書字、読字、計算のうち、どれかが苦手という方が多いです。話しをすると理解できるのに、文章を読み取ることが出来なかったり、文字を書いても左右反対、枠からはみ出てしまう、数式を上手く立てることが出来ないことなどが見られます。
- 二次障害:うつ・不安・不眠・自己肯定感の低下など
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 物事の優先順位がつけにくい
- 対人誤解やコミュニケーションの齟齬が多い。
- 家事の段取りが悪く、はかどらない。
診察で確認するポイント
- 幼少期からの傾向
- 現在の困りごとと環境
- 二次障害の有無
- 必要に応じて心理検査
再発予防・セルフケアのポイント
- マルチタスクを減らす
- 疲労を溜めない
- 合理的配慮を相談
実例(ご相談例)
- 締切遅れが続き自己否定と不眠が強くなった。
- 雑談が苦手で自分の発言を誤解されやすい。
- 書類作成が極端に苦手で仕事が回らない。
治療の考え方
- 環境調整
-
見える化・ツール活用・役割分担を検討します。
- 心理的支援
-
時間管理やコミュニケーションを整理します。
- 二次障害の治療
-
うつ・不安が強い場合は優先します。
カサンドラ症候群
カサンドラ症候群は、自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)を持つ夫あるいは妻と、コミュニケーションが上手くいかず、配偶者側が「分かってもらえない」という気持ちが強くなり、心身に不調をきたしてしまいます。
自閉症スペクトラム障害の方は、冗談が通じない、暗黙のルールを上手く読み取れないことが多く見られ、「言われたことしか出来ない」と見られてしまいがちです。こうしたコミュニケーション上の問題が夫婦間で見られ、育児の際に全く手伝ってもらえない、心配してもらえないという状況になってしまいます。
その結果、配偶者側が、疲れ果てて心身に不調を訴えてしまうようです。なお、カサンドラ症候群は正式な病名ではございません。

よくある症状
- 抑うつ・不安
- 不眠
- 頭痛・動悸・倦怠感
- 孤立感
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 家事育児の負担偏りで疲弊
- 相談できず孤立
- 不眠が悪化して生活機能低下
診察で確認するポイント
- 関係性の状況整理
- 本人の症状の重症度
- 支援資源の有無
- 安全性の確認
再発予防・セルフケアのポイント
- 我慢を放置しない
- 回復時間を先に確保
- 支援資源を複線化
- 早めに相談
実例(ご相談例)
- 話し合いが噛み合わず不眠が悪化。
- 家事育児の負担が偏り涙もろい。
- 相談相手がなく抑うつが強まった。
治療の考え方
- 症状への治療
-
不眠・抑うつを整えます。
- カウンセリング
-
課題を分解し現実的な対処を作ります。
- 環境調整
-
負担の偏りを是正する工夫を検討します。
認知症
認知症は記憶・判断・段取りなどが影響を受け、生活に支障が続く状態です。原因疾患により症状の出方が異なり、可逆的要因の鑑別も重要です。
認知症には大きく分けて、アルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症に分けられ、それぞれ症状が異なります。

- アルツハイマー型認知症
- アルツハイマー型認知症の病因は現在まで分かっておりません。症状としては、はじめは言いたいことが上手く伝えられない、言葉が出てこない、意欲が低下しているなどが見られます。その後、記憶力が低下していき、相手の話している内容が理解できなくなります。妄想や不安感などの症状が見られる場合もあり、日常生活での運転、食事などの用意が難しくなっていきます。さらに進行すると、言葉を話すことが出来なくなり、よく知っている人でも誰か分からなくなってしまいます。失禁なども見られることがあります。
- 前頭側頭型認知症
- 前頭葉、側頭葉の脳機能が低下することで、様々な問題が生じる状態を指します。前頭側頭型認知症の特徴的な症状として、性格や行動が大きく変化することと、記憶力の低下や日常生活を送る力の低下はあまり見られないことが挙げられます。性格や行動の変化では、同じような行動を繰り返したり(同じ散歩コースを歩き回るなど)、万引きや放火などの反社会的な行動を取ることや、周囲から身勝手と思われる行動を気の向くままに取ってしまうことなどが挙げられます。
- レビー小体型認知症
- レビー小体型認知症では、時間や場所などの把握や会話の理解などが出来る時と出来ない時の差が大きく見られます。また、見えていないものが見えてしまう幻視が見られたり、一時的に意識を失ってしまうなどの症状も見られます。また、歩こうとすると足がすくんでしまったり、歩き出しても小刻みに足が震えてしまい転倒してしまいやすくなっています。動作がやけにゆっくりになることも見られるようです。また、眠っているにも関わらず、ゴロゴロと動いたり、起き上がって歩き回る、大きな寝言を言うなどの症状も見られます。
- 脳血管性認知症
- 脳血管性認知症では、脳梗塞や脳出血により認知症の症状を呈するものを言います。影響を受ける能力は部位によって異なりますが、出来る能力と出来ない能力の差が大きい場合や、1日の中で出来るときと出来ないときが見られることが特徴的です(まだら認知症)。例えば、物忘れはひどいにも関わらず会話などでは問題なく理解出来たり、朝方はよく話していたにもかかわらず、夕方になって急に受け答えが出来なくなったりします。
よくある症状
- 物忘れ、同じ話
- 段取り低下、金銭管理困難
- 見当識の低下
- 性格変化や幻視が出ることがある
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 服薬管理が難しい
- 火の不始末や詐欺被害のリスク
- 介護者の負担が増える
診察で確認するポイント
- 経過(徐々に/急に)
- 生活機能の変化
- 認知機能検査
- 必要に応じ画像検査や連携
再発予防・セルフケアのポイント
- メモや予定表で見える化
- 安全対策
- 抱え込まず相談
- 睡眠・体調悪化時は早めに受診
実例(ご相談例)
- 同じことを繰り返し聞く。
- 家事の段取りが崩れた。
- 幻視の訴えで不安が強い。
治療の考え方
- 評価
-
鑑別とタイプ推定を行います。
- 生活支援
-
安全対策と地域資源の利用を検討します。
- 介護者支援
-
負担評価と相談先の確保を行います。
五月病
春の環境変化後、連休明けに倦怠感・意欲低下・不眠などが出る状態を指します。実態は適応障害やうつ状態と重なることが多く、早期対応が重要です。なお5月病は正式な病名ではございません。

よくある症状
- だるい、朝起きられない
- やる気が出ない、集中できない
- 気分の落ち込み、涙もろい
- 不眠/過眠、食欲変化
- 出社/登校前の不安や腹痛
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 遅刻・欠勤が増える
- 自己否定が強まる
- 生活リズムが崩れる
診察で確認するポイント
- 環境変化と負荷
- 連休前後の経過
- 睡眠負債
- 抑うつの重症度
- 適応障害/うつ病の鑑別
再発予防・セルフケアのポイント
- 意図的に休息を入れる
- 睡眠を削らない
- 困りごとを早めに相談
- 支援者と共有
実例(ご相談例)
- 新入社員。連休明けから朝起きられず欠勤が増えた。
- 異動後に不眠と意欲低下が強くなった。
- 登校前に腹痛が出て欠席が増えた。
治療の考え方
- 休養
-
睡眠と休息を優先します。
- 生活の立て直し
-
起床時刻固定、朝日、軽い運動。
- 薬物療法
-
不眠や不安が強い場合に補助的に用いることがあります。
- カウンセリング
-
ストレス対処と働き方の工夫を具体化します。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)/トラウマ関連障害
PTSDは、事故・災害・暴力・虐待など、強い衝撃体験の後に、フラッシュバック、悪夢、不眠、回避、過覚醒などが続く状態です。恐怖感、不眠、悪夢、気持ちの麻痺、出来事を思い出させる状況の回避などが長く続くことがあります。
数週〜数か月の“潜伏期間”を経て症状が目立つこともあります。意思の弱さではなく、適切な評価と治療が重要です。

よくある症状
- だるい、朝起きられない
- やる気が出ない、集中できない
- 気分の落ち込み、涙もろい
- 不眠/過眠、食欲変化
- 出社/登校前の不安や腹痛
日常生活・仕事で起こりやすい困りごと
- 遅刻・欠勤が増える
- 自己否定が強まる
- 生活リズムが崩れる
診察で確認するポイント
- 環境変化と負荷
- 連休前後の経過
- 睡眠負債
- 抑うつの重症度
- 適応障害/うつ病の鑑別
再発予防・セルフケアのポイント
- 意図的に休息を入れる
- 睡眠を削らない
- 困りごとを早めに相談
- 支援者と共有
実例(ご相談例)
- 新入社員。連休明けから朝起きられず欠勤が増えた。
- 異動後に不眠と意欲低下が強くなった。
- 登校前に腹痛が出て欠席が増えた。
治療の考え方
- 休養
-
睡眠と休息を優先します。
- 生活の立て直し
-
起床時刻固定、朝日、軽い運動。
- 薬物療法
-
不眠や不安が強い場合に補助的に用いることがあります。
- カウンセリング
-
ストレス対処と働き方の工夫を具体化します。
医院概要
提携先病院
りんかい月島クリニック
順天堂大学医学部附属順天堂医院
昭和大学江東豊洲病院
東大病院
東京科学大学病院
聖路加国際病院
慶應病院
済生会中央病院
日本大学病院
虎の門病院
東京女子医科大学病院
関東中央病院
JR東京総合病院
都立豊島病院
都立多摩北部医療センター
慈恵医科大学付属病院
厚生中央病院
東邦大学医療センター大橋病院
りんかい豊洲クリニック
順天堂大学医学部附属順天堂医院
昭和大学江東豊洲病院
東大病院
東京科学大学病院
聖路加国際病院
慶應病院
済生会中央病院
日本大学病院
虎の門病院
東京女子医科大学病院
関東中央病院
JR東京総合病院
都立豊島病院
都立多摩北部医療センター
慈恵医科大学付属病院
厚生中央病院
日本赤十字医療センター
三井記念病院
東邦大学医療センター大橋病院



