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企業のメンタルヘルス対策義務とは?最新のストレスチェック制度や法的責任、対策方法を解説

企業のメンタルヘルス対策義務を表すビジネスパーソン
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近年、職場でのメンタルヘルス不調が深刻な社会問題となっています。厚生労働省の調査によると、労働者の約10人に1人がうつ病を経験しており、企業にとってメンタルヘルス対策は避けて通れない課題となっています。特に2024年の法改正により、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場にも義務化が拡大される方向性が示され、多くの企業が対応を迫られています。

この記事では、企業の人事労務担当者や経営者の方々に向けて、メンタルヘルス対策の法的義務から具体的な実施方法まで、最新の情報を交えながら分かりやすく解説します。

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目次

企業に課されるメンタルヘルス対策の法的義務とは

企業に課されるメンタルヘルス対策の法的義務とは

企業には労働者の心身の健康を守る法的な責任があります。これは主に「労働安全衛生法」と「労働契約法第5条の安全配慮義務」という2つの法律に基づいています。

労働安全衛生法では、従業員50人以上の事業場に対してストレスチェックの実施を年1回義務付けています。一方、従業員50人未満の事業場については現在は努力義務となっていますが、2024年5月に公布された法改正により、2027年頃には完全義務化される見込みです。

安全配慮義務とは、使用者が労働者の生命や身体の安全を確保する義務のことです。これには物理的な安全だけでなく、精神的な健康も含まれます。企業がメンタルヘルス不調の兆候を見逃し、適切な対応を怠った場合、安全配慮義務違反として法的責任を問われる可能性があります。

  • 予見可能性の有無:メンタル不調の兆候を予見できたかどうか
  • 結果回避義務の履行:適切な措置を講じたかどうか
  • 損害との因果関係:企業の対応不備と労働者の損害に因果関係があるかどうか

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度の実施過程を表すチェックリスト

ストレスチェック制度は、労働者のストレス状況を定期的に把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための仕組みです。従業員50人以上の事業場では年1回の実施が義務付けられており、実施者は医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士が担当します。

ストレスチェックの流れは次のようになります。まず全従業員を対象に質問票による調査を実施し、ストレス状況を数値化します。その結果、高ストレス者と判定された労働者には医師による面接指導の機会を提供する必要があります。ただし、面接指導の申出は労働者の任意であり、強制することはできません。

面接指導では、医師が労働者の心理的負担の程度を評価し、就業上の措置に関する意見を事業者に提出します。ここで重要なのは、面接指導は診断や治療を目的とするものではなく、職場環境の改善や就業上の配慮を検討するためのものであることです。

事業者は医師の意見を踏まえ、必要に応じて作業時間の短縮、業務内容の変更、配置転換などの措置を講じる必要があります。また、ストレスチェックの結果は集団分析を行い、職場環境の改善に活用することが求められています。

2024年法改正で変わる義務化の範囲と今後の対応

2024年法改正で変わる義務化の範囲と今後の対応

2024年5月の労働安全衛生法改正により、従業員50人未満の事業場にもストレスチェック実施が義務化される方向性が明確になりました。施行は公布後3年以内の政令で定める日とされており、2027年頃の完全義務化が予想されます。

この法改正の背景には、中小企業においてもメンタルヘルス不調が深刻化していることがあります。特に中小企業では産業医の選任義務がないため、専門的な対応が困難な場合が多く、国としても支援体制の強化を図っています。

  • 地域産業保健センターとの連携体制を構築する
  • EAP(従業員支援プログラム)の導入を検討する
  • 精神科・心療内科医療機関との連携を図る
  • 段階的な導入により負担を軽減する

また、外部機関を活用したコスト効率的な対策も検討すべきです。EAP(従業員支援プログラム)の導入や、精神科・心療内科医療機関との連携により、専門的な支援を効率的に受けることができます。

安全配慮義務違反のリスクと企業が負う法的責任

安全配慮義務違反のリスクと企業が負う法的責任

メンタルヘルス対策が不十分な場合、企業は様々な法的リスクに直面する可能性があります。最も重要な点は、労働者の健康を守ることが企業の基本的な責務であることです。

長時間労働やパワーハラスメントなどによりうつ病を発症した労働者やその遺族が、企業に対して損害賠償を求めるケースも存在します。このような状況を防ぐためには、適切な健康管理体制の構築が不可欠です。

  • メンタルヘルス不調の早期発見体制の整備
  • 管理監督者への教育研修の実施
  • 相談窓口の設置と外部専門機関との連携
  • 対応手順の明確化と迅速な措置の実施

また、相談窓口の設置や外部専門機関との連携により、労働者が気軽に相談できる環境を整えることも重要です。何より、メンタルヘルス不調の兆候を発見した際の対応手順を明確にし、迅速かつ適切な措置を講じる体制を構築することが、労働者の健康を守る上で欠かせません。

企業規模別のメンタルヘルス対策実施方法

大企業と中小企業の規模別メンタルヘルス対策方法を比較する組織図

企業規模に応じて、効果的なメンタルヘルス対策は異なります。

従業員50人以上の大企業では、産業医の選任が義務付けられているため、専門的な支援体制を内部に構築することができます。衛生委員会での継続的な審議を通じて、心の健康づくり計画を策定し、組織的な取り組みを推進することが重要です。また、ストレスチェック制度の効果的な運用により、職場環境の改善や個別支援の充実を図ることができます。

一方、従業員50人未満の中小企業では、限られたリソースの中で効率的な対策を講じる必要があります。外部機関の活用によるコスト効率化が鍵となり、地域産業保健センターとの連携を基盤とした支援体制の構築が現実的です。

中小企業においては、プライバシー保護体制の整備も重要な課題です。従業員数が少ないため、メンタルヘルス相談や支援を受けていることが他の従業員に知られてしまう可能性があります。外部相談窓口の設置や、匿名性を保った相談システムの導入により、安心して相談できる環境を整える必要があります。

4つのケアシステムで構築する職場のメンタルヘルス体制

セルフケア、ラインケア等4つのケアシステムを表す職場環境の図解

効果的なメンタルヘルス対策には、多層的なアプローチが必要です。厚生労働省では「4つのケア」として体系的な支援システムを推奨しています。

4つのケアとは何か?

  • セルフケア:従業員自身が行うストレス管理
  • ラインによるケア:管理監督者による部下のメンタルヘルス支援
  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医等の専門スタッフによる支援
  • 事業場外資源によるケア:外部専門機関との連携

セルフケアは、従業員自身が行うストレス管理です。認知行動療法の原理を活用したセルフモニタリングが効果的で、ストレス状況の客観的把握と対処方法の学習が重要となります。企業は従業員がセルフケア能力を身につけられるよう、教育研修やツールの提供を行う必要があります。

ラインによるケアは、管理監督者による部下のメンタルヘルス支援です。部下の変化を敏感に察知する観察力の向上、適切なコミュニケーション技術の習得、専門機関への相談タイミングの判断が精神医学的に重要とされています。

事業場内産業保健スタッフ等によるケアでは、産業医が中心的な役割を果たします。産業医は精神科専門医である必要はなく、産業保健の専門知識と経験が重要です。メンタルヘルス不調の予防、早期発見、職場環境改善への助言が主な業務となります。

事業場外資源によるケアでは、外部の専門機関との連携により、EAP、地域産業保健センター、精神科・心療内科医療機関、リワーク支援機関などのサービスを活用します。

職場復帰支援と継続的なフォローアップの進め方

5つのステップによる職場復帰支援プロセスを示すフローチャートと復職者

メンタルヘルス不調により休職した従業員の職場復帰支援は、企業にとって重要な責務です。厚生労働省では5つのステップによる標準的な復職支援プロセスを示しています。

  • 第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケア
  • 第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断
  • 第3ステップ:職場復帰の意思確認と就業上の配慮の検討
  • 第4ステップ:最終的な職場復帰の決定
  • 第5ステップ:職場復帰後のフォローアップ

第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケアでは、休業の手続きを適切に行い、休業中も定期的に連絡を取り、復職への不安を軽減します。この段階では、労働者の回復に専念できる環境を整えることが重要です。

第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断では、主治医から職場復帰可能の診断書が提出された段階で、次のステップに進みます。ただし、主治医の判断だけでなく、職場の状況も考慮する必要があります。

第3ステップ:職場復帰の意思確認と就業上の配慮の検討では、本人の復職意思を確認し、産業医面談により就業上の配慮事項を検討します。この段階で、復職に向けた具体的な条件を整理します。

第4ステップ:最終的な職場復帰の決定では、主治医、産業医、企業の三者で情報を共有し、最終的な復職可否を判断します。労働者の健康状態と職場環境の両面から総合的に判断することが重要です。

第5ステップ:職場復帰後のフォローアップでは、復職後も継続的に支援を行い、再発防止のための環境整備を行います。定期的な面談や業務調整により、安定的な復職を支援します。

各ステップにおいて、主治医、産業医、企業の三者連携が重要です。特に就業上の配慮については、労働時間の調整、業務内容の変更、職場環境の改善など、個別の状況に応じた柔軟な対応が求められます。

まとめ

企業のメンタルヘルス対策義務についてのまとめ

企業のメンタルヘルス対策は、法的義務の履行にとどまらず、働く人々の健康と企業の持続的成長を支える重要な取り組みです。2024年の法改正により義務化の範囲が拡大される中、企業規模に関わらず体系的な対策の構築が求められています。

職場のメンタルヘルス不調でお悩みの方や、復職支援が必要な方は、専門的な治療とサポートを受けることが重要です。りんかい月島・豊洲クリニックでは、働く人のメンタルヘルスに特化した専門医による診療と、復職支援プログラムを提供しています。一人で悩まず、まずは専門医にご相談ください。

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