リワークと就労移行支援の違いとは?
近年、メンタルヘルスの問題や障害により就労に困難を感じる人が増加しています。そんな中で、リワークと就労移行支援という2つの支援制度が注目を集めています。
この記事ではリワークと就労移行支援の違いを解説し、あなたに最適な支援方法を選ぶための情報を紹介します。
リワークと就労移行支援の基本概念
リワークは、主に休職中の会社員を対象とした職場復帰支援プログラムです。メンタルヘルス不調により休職した従業員が、円滑に職場に復帰できるよう支援することを目的としています。
一方、就労移行支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つで、主に障害者手帳を所持している方を対象に、一般就労に向けた訓練や支援を提供します。
両者は就労に困難を抱える人々を支援するという点で共通していますが、対象者や支援内容、利用期間、費用など多くの面で異なります。
リワークと就労移行支援の対象者の違い
リワークの主な対象者は、メンタルヘルス不調により休職中の会社員や、うつ病や不安障害などの精神疾患から回復途中の方です。既に雇用関係のある会社員を対象としているため、休職中の方や休職からの復帰を目指す方が主な利用者となります。
一方、就労移行支援の主な対象者は、障害者手帳を所持している方や障害者総合支援法におけるサービス受給者証を持っている方です。一般就労を目指している障害のある方や、就労経験が少ない、または全くない障害のある方が対象となります。
リワークと就労移行支援の支援内容の違い
リワークプログラムでは、ストレスマネジメント、認知行動療法、タイムマネジメント、コミュニケーションスキルの向上などが提供されます。これらのプログラムを通じて、職場復帰に必要な心身の状態と能力の回復を目指します。
就労移行支援では、就労に必要な知識・能力の習得、職業能力の開発・向上、職場体験・実習、就職活動支援、職場定着支援などが提供されます。一般就労に向けた準備と支援を幅広く行います。
リワークは職場復帰に特化したプログラムであるため、より実践的な内容が多く含まれています。一方、就労移行支援は一般就労に向けた基礎的なスキルの習得から就職活動、職場定着まで幅広くサポートします。
リワークと就労移行支援の利用期間と頻度について
リワークプログラムの利用期間は、一般的に2〜6ヶ月程度です。個人の回復状況や職場の状況に応じて調整されることが多いです。利用頻度は、週2〜5日程度が一般的で、1日の利用時間は通常4〜6時間程度です。
それに対し就労移行支援の標準的な利用期間は最長2年間です。
ただし、個人の状況や目標に応じて、より短期間の利用も可能です。利用頻度は週5日程度が一般的で、1日の利用時間は通常6〜7時間程度です。
リワークは比較的短期間で集中的に行われるプログラムであり、早期の職場復帰を目指す方に適しています。一方、就労移行支援はより長期的な視点で支援を行うため、就労に向けた準備に時間がかかる方や、じっくりとスキルを身につけたい方に適しています。
リワークと就労移行支援の費用と制度の違いについて
リワークプログラムの費用は、医療機関や民間のリワーク施設によって異なります。医療機関で行われるリワークプログラムの場合、健康保険が適用されるため、自己負担は3割程度となります。また、自立支援医療制度を利用することで、自己負担額は0〜1割になり、前年の収入に応じて月額自己負担の上限も設定されます。
就労移行支援は障害福祉サービスの一つであるため、原則として利用者の自己負担は1割です。ただし、所得に応じて月額上限が設定されており、多くの場合、数千円から1万円程度の負担で利用できます。
一般的に、就労移行支援とリワークの経済的負担は同程度と言えます。ただし、リワークは職場復帰を前提としているため、収入の見通しが立てやすいという利点もあります。
リワークと就労移行支援を利用するまでの違い
リワーク利用までのプロセスは、主治医への相談、会社への相談、リワーク施設の選択、初回面談、主治医の許可、利用開始という流れになります。一方、就労移行支援利用までのプロセスは、障害者手帳の取得、市区町村の窓口に相談、サービス等利用計画の作成、支給決定、事業所の見学と選択、利用契約の締結、利用開始という流れになります。
リワークは主に医療機関や会社との調整が中心となりますが、就労移行支援は行政手続きや福祉サービスの利用申請が必要となります。リワークは比較的迅速に利用を開始できる場合が多いのに対し、就労移行支援は手続きに時間がかかることがあります。
リワークと就労移行支援のメリット、デメリット
リワークのメリットとしては、職場復帰に特化したプログラム、メンタルヘルスケアの専門性、段階的な復職準備、同じ立場の人との交流、再発予防スキルの習得などが挙げられます。
デメリットとしては、費用負担、利用条件の制限、期間の制限、職場環境への依存、転職支援の限界などがあります。
就労移行支援のメリットとしては、幅広い支援内容、低コスト、長期的な支援、職場体験の機会、就職後のフォローアップなどが挙げられます。
デメリットとしては、利用条件の制限、一般就労への移行に時間がかかる可能性、支援内容の質のばらつき、集団プログラムの多さ、福祉的就労との混同などがあります。
特徴を理解し、最適な支援方法を選びましょう
リワークと就労移行支援は、どちらも就労に困難を抱える人々を支援する重要なサービスです。自分の状況や目標に合わせて適切な支援を選択することが、スムーズな職場復帰や就職成功への近道となります。
特に、休職中の会社員の方や、メンタルヘルスの問題から早期の職場復帰を目指している方には、リワークプログラムがおすすめです。当院のリワークプログラムは、1ヶ月程度から利用可能な「通勤訓練コース」と、4ヵ月~半年程度で行なう「リワーク標準コース」の2種類をご用意しています。
リワーク標準コースでは、集団認知行動療法やアサーションスキルを学ぶプログラムを通じて、休職前の自身のストレス対処について振り返り、再発予防のためのストレス対処スキルを高めることができます。また、グループワークでは他の参加者と協力して業務を進める感覚を取り戻したり、共通の悩みについて話し合うことができます。
さらに、当院のリワークプログラムでは「再休職予防レポート」の作成を通じて、復職後の再発予防にも力を入れています。うつ病の再発率は約60%と高いと言われていますが、このレポートを活用することで、不調のサインに早めに気づき、適切に対処することができます。また、復職に当たっての会社担当者との面談や産業医面談等の際、復職後も安定して働くための準備があることを理解してもらえます。
リワークプログラムに興味をお持ちの方は、まずは当院のリワークプログラムへお問合せください。経験豊富なスタッフが、あなたの状況をお伺いし、最適なプログラムをご提案いたします。一緒に、あなたの職場復帰への道筋を立てていきましょう。