六月病とは?原因・症状・改善策の完全ガイド

新年度から約2ヶ月が経過する6月頃、「なんとなくやる気が出ない」「疲れが溜まっている」といった症状に悩む人が増加します。
これはいわゆる「六月病」と呼ばれる状態です。本記事では、六月病の原因から症状、効果的な対策まで徹底解説します。
六月病の概要と定義

六月病とは何か?
六月病とは、新しい環境に慣れ始めた頃(約2ヶ月経過後)に様々な心身の不調が現れる状態を指す俗称です。4月からの新生活に適応しようと長期間ストレスに対抗してきた結果、エネルギー不足により徐々にストレスに耐えられなくなり、症状として現れます。
正式な医学用語ではなく、医療機関では適応障害やうつ病と診断されるケースが多くあります。特に新入社員が研修を終えて実際の配属先での仕事が始まる頃に症状が出やすいという特徴があります。
六月病と五月病の明確な違い
「六月病」と「五月病」は似た症状を示しますが、発症のタイミングと原因に明確な違いがあります。
- 五月病:新環境への適応初期に現れる。環境の変化そのものによるストレスが主因
- 六月病:環境に慣れ始めた頃(約2ヶ月後)に現れる。蓄積した疲労とギャップに直面することが主因
つまり、五月病が「環境変化のショック」によるものなら、六月病は「慣れてきた環境での現実とのギャップ」や「長期間の緊張からの反動」が原因と言えます。
六月病と適応障害・うつ病との関連性

医学的視点からみた六月病
六月病は民間用語であり、医学的には特定の診断名として確立されていません。しかし、その症状や経過から、専門家は六月病を一種の適応障害と考えることが多いです。
適応障害は、明確なストレス因子(環境変化など)に対する心理的反応として発症し、社会的・職業的機能に支障をきたす状態を指します。六月病はまさにこの定義に合致する面が多いと言えるでしょう。
適応障害・うつ病との違いと共通点
六月病は民間用語であり、医学的には「適応障害」の一種として捉えられることが多いです。適応障害とは、強いストレスによって精神的・身体的症状が引き起こされる状態を指します。
- 適応障害:特定のストレス要因が明確で、そのストレスがなくなれば比較的早く回復する
- うつ病:明確なストレス要因がなくても発症し、より長期的で重篤な症状を伴う
六月病の症状が2週間以上継続する場合や、日常生活に大きな支障をきたす場合は、単なる「六月病」ではなく、専門的な治療が必要な状態である可能性があります。
六月病の主な症状

心理的症状(やる気低下・イライラ・不安感など)
六月病では、まず心理面の変化として以下のような症状が現れることが多いです:
- やる気や集中力の著しい低下(無気力感や日常生活のメリハリの喪失)
- 精神面の不安定(イライラ感、漠然とした不安感の増加)
- 集中力の低下、物忘れの増加
- 以前は楽しんでいた活動への興味喪失
- 注意力や判断力の低下
- 感情の起伏が激しくなる(涙もろくなる)
- 仕事や勉強への意欲減退
これらの症状は、本人が「なんとなく調子が悪い」と感じるレベルから、周囲の人にも明らかに分かるレベルまで幅広く存在します。
身体的症状(慢性疲労・睡眠障害・めまいなど)
心理的な症状と並行して、以下のような身体的な不調も現れます:
- 慢性的な疲労感(十分な休息をとっても回復しない)
- 睡眠障害(夜中に目が覚める、寝つきが悪い、起床困難)
- 食欲不振(食事がおいしく感じられない)
- めまいや吐き気などの自律神経症状
- 頭痛や肩こりの悪化
- 朝起きるのが極端に辛くなる
- 胃腸の不調(胃痛、下痢、便秘など)
六月病が発症する3つの主な原因

新環境への適応ストレスと現実とのギャップ
六月病の最も大きな原因の一つは、新しい環境に適応するために費やした労力と、理想と現実のギャップによるストレスです。
4月から5月にかけては、新しい環境に慣れようと高いモチベーションで頑張ることができますが、2ヶ月が経過する頃には以下のような状況に直面します:
- 現実とのギャップ(リアリティショック)に気づく時期
- 新しい環境に適応するために長期間緊張状態が続いた反動
- 研修期間を終え、実際の業務への移行によるプレッシャー増加
- 新しい人間関係構築の労力による疲労蓄積
梅雨時期の自律神経バランスの乱れ
6月は梅雨の時期であり、気象条件の変化が自律神経系に大きな影響を与えます。
- 高湿度と気圧の変動による自律神経のバランス崩れ
- 交感神経(活動時に活発)と副交感神経(リラックス時に活発)の調節機能の低下
- 気象条件によるストレスホルモン(コルチゾール)の分泌変化
- 天候不順による生活リズムの乱れ
自律神経のバランスが崩れると、疲労感、めまい、頭痛、胃腸の不調など、様々な身体症状が現れやすくなります。特に気象の変化に敏感な人は、この影響をより強く受ける傾向があります。
日照時間減少によるセロトニン分泌低下
梅雨時期の日照時間の減少は、心の健康に重要な役割を果たす脳内物質に影響します。
- セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定やストレス耐性に関わる重要な脳内物質
- 日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進される
- 6月は日照時間が減少するため、セロトニン分泌が低下しやすい
セロトニンの分泌低下は、気分の落ち込み、意欲低下、睡眠の質の低下などにつながります。これが六月病の精神的症状を引き起こす生理学的なメカニズムの一つと考えられています。
六月病セルフチェック方法

セルフチェックリスト10項目
以下の項目に5つ以上当てはまる場合は、六月病の可能性があります:
- 朝起きるのが辛く、会社や学校に行きたくないと感じる
- 普段なら気にならないことでイライラすることが増えた
- 仕事や勉強に以前より集中できなくなった
- 夜、なかなか眠れない、または夜中に何度も目が覚める
- 常に疲れを感じ、休日も回復しない
- 趣味や好きなことへの興味が薄れた
- 頭痛やめまい、胃の不調などの身体症状がある
- 将来に対する漠然とした不安を感じる
- 以前より些細なミスが増えた
- 人と会話するのが面倒に感じる
このチェックリストはあくまで参考であり、正確な診断は医療専門家にご相談ください。症状が2週間以上続く場合は、専門家への相談を検討しましょう。
症状の重症度を判断するポイント
六月病の重症度を判断する際に注目すべきポイントがいくつかあります:
- 症状の持続期間(2週間以上続く場合は要注意)
- 日常生活への影響度(仕事や学業、家事などに支障が出ているか)
- 身体症状の程度(睡眠や食事に大きな変化があるか)
- 気分の落ち込みの深さ(希死念慮がある場合は即座に専門家に相談)
軽度であればセルフケアで改善する可能性が高いですが、中程度から重度の場合は、専門的なサポートが必要になることが多いです。判断が難しい場合は、周囲の人の意見も参考にしましょう。
六月病になりやすい人の特徴

六月病は誰にでも起こり得ますが、特に以下のような性格特性を持つ人がなりやすい傾向があります:
- 几帳面で真面目な性格の人
- 完璧主義傾向が強く、ミスを過度に気にする人
- 責任感が強く、自分で全てを抱え込もうとする人
- 我慢強く、自分の限界を超えてでも頑張ってしまう人
- 自分から相談できない、悩みを抱え込みやすい人
- 変化への適応に時間がかかるタイプの人
このような性格の人は高い基準を自分に課し、周囲からの期待に応えようと無理をしがちです。その結果、気づかないうちにストレスが蓄積し、限界に達すると六月病として症状が表面化します。
六月病を予防するための効果的な対策

生活習慣の見直し(バランスの良い食事・適度な運動・質の良い睡眠)
六月病を予防するためには、基本的な生活習慣の見直しが非常に重要です。
- バランスの良い食事:トリプトファンを含む食品(バナナ、乳製品、大豆製品など)を意識的に摂取する
- 朝食を必ず摂る:朝食はセロトニン分泌を促し、一日のリズムを整える
- 適度な運動:週に3回、30分程度の有酸素運動を行う
- 質の良い睡眠:就寝前のスマホ使用を控え、同じ時間に就寝・起床する習慣をつける
- 休息時間の確保:週末や休日は十分にリラックスする時間を設ける
特に梅雨時期は外出が減りがちですが、晴れ間を見つけて日光を浴びる機会を意識的に増やすことで、セロトニンの分泌を促進しましょう。
ストレス管理とメンタルヘルスケア技法
日常的なストレスを効果的に管理することで、六月病の予防につながります。
- マインドフルネス瞑想:1日5-10分の瞑想でストレス軽減効果
- 深呼吸法:緊張時に4秒吸って6秒かけて吐く呼吸法
- 適切な休息:集中作業45分ごとに5分の小休憩を取る
- ストレス日記:ストレスの原因と対処法を記録する習慣
- 気分転換活動:趣味や興味のある活動を定期的に行う
職場・学校でのコミュニケーション改善法
六月病は職場や学校での人間関係やコミュニケーションの問題からも引き起こされます。
- 上司や先輩への相談:分からないことは早めに質問し、一人で抱え込まない
- 同期との情報共有:同じ立場の人と定期的に情報交換する
- 適切な自己主張:無理な仕事量には丁寧に断る勇気を持つ
- メンター制度の活用:会社にメンター制度がある場合は積極的に活用する
特に新入社員の場合「分からないことは聞いてはいけない」と思い込みがちですが、むしろ質問することで信頼関係が構築され、ストレスも軽減されます。適切なコミュニケーションが六月病予防の鍵です。
六月病を乗り越えるための具体的な対処法

すぐに実践できる自己ケア方法7選
すでに六月病の症状が出ている場合は、以下の自己ケア方法を試してみましょう:
- 十分な休息を取る:週末は思い切ってゆっくり過ごす時間を作る
- 軽い運動を取り入れる:ウォーキングやストレッチなど負担の少ない運動から始める
- 日光浴をする:晴れた日には15-30分程度、日光を浴びる時間を作る
- 自分へのご褒美を設定:小さな目標を達成したら自分を褒める習慣をつける
- SNSや情報摂取を制限:就寝前1時間はスマホやPCを見ない
- 呼吸法や瞑想を実践:簡単なマインドフルネス瞑想アプリを活用する
- 優先順位をつける:To-doリストで重要な作業に集中し、完璧主義を手放す
趣味や活動を活用したリフレッシュ術
趣味や活動を通じて気分転換を図ることも、六月病の改善に効果的です。
- 創作活動:絵を描く、音楽を演奏する、料理をするなど
- 自然との触れ合い:公園散策、植物の手入れ、ハイキングなど
- リラクゼーション活動:ヨガ、入浴剤を入れたお風呂、アロマテラピーなど
- 社交活動:友人との少人数での会食、家族との時間など
重要なのは、「しなければならない」という義務感からではなく、純粋に楽しめる活動を選ぶことです。新しい趣味にチャレンジするのも良いですが、この時期はあまり高い目標を設定せず、楽しむことを優先しましょう。
仕事や業務の適切な調整方法
職場での対応も六月病の改善に重要です:
- タスクの優先順位付け:緊急性と重要性のマトリックスで業務を整理する
- 小さな目標設定:達成可能な小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねる
- 休憩時間の確保:昼休みは必ず取り、デスクを離れてリフレッシュする
- 上司への相談:業務量や内容について率直に相談する
- テレワークの活用:可能であれば、一部テレワークを取り入れる
仕事の調整が難しい場合は、まず短期的にできる小さな変化から始めてみましょう。通勤経路を少し変えてみる、昼食場所を変えてみるなど…新鮮さを取り入れることも効果的です。
まとめ:六月病を正しく理解して健康的に乗り越えるために

六月病は新環境への適応期間を経て約2ヶ月後に現れる一時的な心身の不調です。主な原因は適応ストレスの蓄積、梅雨による自律神経の乱れ、日照時間減少によるセロトニン低下です。
予防と対策には生活習慣の見直し、ストレス管理、適切なコミュニケーションが重要です。自分の心身のサインに敏感になり、無理をせず六月病を乗り越えていきましょう。