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【医師監修】適応障害による休職中の過ごし方を解説

「適応障害の診断を受けて休職しているけど、休職中にお出かけってしていいの?」

「休職中に転職活動していいの?」

こんな風に休職中の過ごし方について悩む方は少なくありません。「何をすればいいのかわからない」「休職中は何もしてはいけないのでは?」と不安を感じる方もいるでしょう。

休職は決して恥ずかしいことではありません。むしろ、休職を通じて自分自身と向き合い、回復への道を歩むことは、尊敬に値する勇気ある行動なのです。

そこでこの記事では、適応障害で休職中の過ごし方について詳しく解説します。休職期間を有意義に過ごし、回復へのステップを踏み出すヒントが見つかれば幸いです。

目次

適応障害とは

適応障害は、ストレスフルな環境の変化に適応できず、心身に不調をきたす状態を指します。仕事上のストレスが原因で適応障害を発症し、休職を余儀なくされるケースも少なくありません。

適応障害の症状は多岐にわたります。抑うつ気分、不安感、イライラ、集中力の低下などの精神症状や、頭痛、胃腸障害、倦怠感などの身体症状が現れることがあります。これらの症状により、日常生活や社会生活に支障をきたし、休職が必要になるのです。

適応障害は、うつ病や不安障害など他の精神疾患と症状が重複することがあるため、専門医による正確な診断が重要です。また適応障害はストレス要因への反応として一時的に生じる状態であるのに対し、他の精神疾患はより長期的に症状が持続する点が異なります。

適応障害による休職中の適切な過ごし方(期間別)

休養期(~1カ月)

休職初期の1カ月間は、十分な休息を取り、心身を休めることに専念しましょう。生活リズムを整えることが重要です。規則正しい睡眠と食事のリズムを作り、ゆったりとした時間を過ごすことを心がけましょう。

1日の大半を睡眠に充てるのは避け、日中は適度に体を動かすことが大切です。軽いストレッチやヨガ、散歩など、無理のない範囲で体を動かしましょう。外の空気を吸うことで、気分転換にもなります。

ストレスを和らげるリラックス方法を取り入れるのも効果的です。深呼吸、瞑想、アロマテラピーなど、自分に合った方法で心身の緊張をほぐしていきましょう。好きな音楽を聴いたり、入浴でリラックスしたりするのもおすすめです。

またこの時期は休養に罪悪感を感じがちですが、これは自身の回復に向けた大切なプロセスです。

この期間は周囲への迷惑を心配するのではなく、今は自分の心身を休めることに集中することが大切だと自分に言い聞かせましょう。

リハビリ期(1~3カ月)

休養期を経て、徐々に活動量を増やしていきます。軽い運動や趣味活動を始めるのもよいでしょう。ウォーキング、ヨガ、読書など、楽しみながら心身を動かすことで、回復へのステップを踏み出します。

運動は、ストレス解消や気分転換に効果的です。散歩やジョギングなど、自分のペースで無理なく続けられるものを選びましょう。適度な運動は、セロトニンの分泌を促進し、気分を高める効果が期待できます。

趣味活動も、生活にメリハリをつけるのに役立ちます。読書、絵画、料理など、自分の好きなことに没頭する時間を持つことで、ストレスから距離を置くことができます。新しい趣味を始めるのもよいでしょう。新しいことへのチャレンジは、自信やモチベーションの向上につながります。

またストレス対処法を学ぶことも重要です。認知行動療法やマインドフルネスなど、ストレスに上手に対処するスキルを身につけることで、再発防止につなげることができます。カウンセリングや自助グループに参加して、ストレス対処法を学ぶのもおすすめです。

調整期(3カ月以降)

休職期間が長期化する場合は、社会復帰に向けた準備を始めます。リワーク制度を活用し、徐々に職場復帰をシミュレーションするのも一つの方法です。

リワークプログラムでは、就労に必要なスキルを再習得したり、ストレス耐性を高めたりすることができます。復職後の働き方を見直し、再発防止策を立てることも大切です。

なお当院のリワークプログラムでは、休職期間や目的に合わせて、「通勤訓練コース」と「リワーク標準コース」の2種類のコースを用意しています。

通勤訓練コースは、復職に向けて生活リズムを整え、働く感覚を取り戻すのを目的としたコースです。約1か月間、職場で必要なスキルの勉強を自習しながら、安定して通所できる状態を整えていきます。

リワーク標準コースは、休職の経緯を振り返り、再休職予防を目指す標準的なコースです。集団認知行動療法やアサーションスキルを学ぶプログラムで、ストレス対処スキルを高めていきます。グループワークでは、他の休職者と悩みを共有し、協力して課題に取り組むことで、職場復帰に必要な感覚を取り戻していきます。

このようなリワークプログラムを利用することで、スムーズな職場復帰を目指すことができるでしょう。復職への不安を軽減し、再発防止策を立てることで、より安定した状態で復職に臨むことができます。

休職中に罪悪感を感じている方へ

休職中は、周囲に迷惑をかけているという罪悪感を抱えがちです。しかし、そのような気持ちは回復を妨げる可能性があります。

休むことをトレーニングの一部と考えるようにしましょう。休養や自己理解の時間を持つことは、回復への重要なプロセスです。迷惑をかけることに対する遠慮は、ある程度必要ですが、過度に自責的になる必要はありません。

また、一人で抱え込まず、専門家や仲間のサポートを積極的に活用することが大切です。カウンセリングやサポートグループに参加し、悩みを共有することで、孤独感や罪悪感を和らげることができます。

家族や友人にも、適応障害について理解を求め、サポートを得ることが重要です。休職中の過ごし方や回復のペースは人それぞれです。周囲の理解と協力を得ながら、自分のペースで回復に向かうことが大切だと伝えましょう。

休職中の旅行やお出かけについて

休職中に旅行に行くことで、気分転換やリフレッシュ効果が期待できます。日常から離れ、新しい環境に身を置くことで、ストレスから解放され、心身をリセットすることができるでしょう。

ただし、旅行を計画する際は、必ず主治医に相談することが重要です。体調や回復状況を考慮し、旅行が適切かどうか判断してもらう必要があります。

また長期間の旅行は、場合によっては就労可能とみなされるリスクがあります。傷病手当金などの受給中は、旅行期間が就労可能期間とみなされ、手当の支給が停止される可能性があるので注意が必要です。目安として2週間以上の旅行を計画する際は、必ず事前に確認しておきましょう。

復職と再発予防策について

休職期間を経て、徐々に復職に向けた準備を進めていきます。復職に際しては、主治医や産業医、上司と相談し、業務内容や勤務時間の調整を行いましょう。

復職後は、再発予防が重要なテーマとなります。ストレス対処法を実践し、自己管理に努めることが求められます。また、職場の理解と協力を得ることも欠かせません。上司や同僚に状況を説明し、サポート体制を整えておくことが大切です。

再発予防のためには、ストレスサインを見逃さないことが重要です。疲労感、集中力の低下、イライラ、不眠など、自分なりのストレスサインをチェックし、早めに対処するようにしましょう。

また、ワークライフバランスを見直すことも大切です。仕事と私生活のバランスを保ち、十分な休養を取るようにしましょう。趣味の時間を持ったり、家族や友人との交流を大切にしたりすることで、ストレス解消につなげることができます。

適応障害で休職中の転職活動について

適応障害で休職中に転職活動を行うことについては慎重な検討が必要です。休職中はまず休養と回復に専念することが原則です。転職活動はストレスを伴うものであり、回復途上の心身に負担をかける可能性があります。

しかし、現在の職場環境がストレス要因となっている場合や、復職が難しいと判断される場合は、転職も選択肢の一つとなり得ます。ただし、その際は主治医や産業医、カウンセラーなどの専門家と相談し、回復状態を見極めた上で、慎重に判断することが重要です。

転職活動を始める際は、自分のペースで無理なく進めることが大切です。特に新しい職場環境への適応には注意が必要です。ストレス要因の少ない職場、柔軟な勤務形態、充実したメンタルヘルスサポート体制などを考慮して、転職先を選ぶことをおすすめします。

転職活動中も継続的な治療とセルフケアを怠らないようにしましょう。定期的な通院、ストレス管理技術の習得、十分な休息などが、再発防止につながります。

適応障害からの回復と転職は、時間と努力を要するプロセスです。専門家のサポートを受けながら、無理せず自分のペースで進め、長期的な健康と職業生活の両立を目指すことが肝心です。

休職中に活用できる手当や支援制度の紹介

傷病手当金

健康保険に加入している被保険者が、病気やケガで会社を休んだ場合、一定の要件を満たせば傷病手当金が支給されます。標準報酬日額の2/3に相当する金額が、最長1年6カ月受け取れます。申請には、医師の意見書が必要です。

休業補償給付

業務上の事由や通勤が原因で適応障害を発症し、休職した場合は、労災保険の休業補償給付が受けられる可能性があります。労災認定を受けるには、医師の意見書や事業主の証明書などが必要です。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、リワークプログラムを利用できます。心理面でのサポートや、職場復帰に向けた準備を行うことができます。利用には、市町村の障害福祉課に申請が必要です。

障害年金

一定の障害状態にあり、国民年金や厚生年金の被保険者期間がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。適応障害の場合、障害等級2級以上であれば、障害基礎年金や障害厚生年金を受給できます。申請には、医師の診断書が必要です。

これらの制度を利用することで、経済的な不安を軽減し、安心して休職に専念することができます。各制度の詳細や申請方法については、行政機関や職場の人事担当者に確認しましょう。

適応障害で休職中の方へ

適応障害からの回復には、休職中の過ごし方が大きく影響します。十分な休養を取り、ストレス対処法を身につけ、徐々に社会復帰への準備を進めていくことが重要です。

回復のペースは人それぞれです。焦らず、自分のペースで進めていきましょう。周囲のサポートを受け、適切な支援制度を活用しながら、一歩ずつ前に進んでいくことが大切です。

適応障害は、誰もがなりうる可能性のある身近な問題です。休職を恥ずかしいと思う必要はありません。むしろ、休職を通じて自分自身と向き合い、回復への道を歩むことは、尊敬に値する勇気ある行動なのです。

あなたの回復を、心から願っています。一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けながら、ゆっくりと前に進んでいきましょう。

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