コラム

マンジャロをやめた後のリバウンドにメトホルミンは使える?根拠と注意点を解説

マンジャロで体重が減ったあと、「やめたらまた太るのでは」「メトホルミンに切り替えれば大丈夫と聞いたけれど本当?」と迷っていませんか。

先に結論をお伝えします。マンジャロをやめると体重は戻りやすいことが、臨床試験で示されています。一方で、メトホルミンに切り替えれば戻りを防げるかどうかは、はっきりした根拠がありません。メトホルミンは肥満症の薬としては承認されておらず、使うかどうかは医師の判断になります。

この記事では、中止後の体重の動き、メトホルミンがどんな薬か、「移行」を考えるときに確認しておきたいことを順に整理します。体重が戻る理由や予防の生活習慣は、別の記事で詳しく扱っています。

目次

マンジャロをやめると、体重はどのくらい戻る?

体重計に乗る人のイメージ

目安になるのが、チルゼパチド(マンジャロの成分)の臨床試験「SURMOUNT-4」です。肥満のある成人が36週間チルゼパチドを使い、その後ランダムに2つの群に分けられました。

  • 投与を続けた群:その後の52週間で、さらに平均5.5%体重が減った
  • 偽薬(プラセボ)に切り替えた群:同じ52週間で、36週時点の体重から平均14%増えた

出典:JAMA 2024, SURMOUNT-4試験。偽薬に切り替えた群では、体重が大きく戻っています。

体重が戻る理由は人によって異なり、この試験だけでは個別の原因までは分かりません。考えられる理由や対策の詳細は、「マンジャロをやめてリバウンド不安も解消!」の記事にまとめています。

なお、この試験では薬を段階的に減らしたわけではなく、偽薬に切り替えています。減らし方を工夫すれば戻りを防げるかどうかは、この試験からは分かりません。

メトホルミンはどんな薬?承認されている使い方

薬と水のイメージ

メトホルミンは、ビグアナイド系の飲み薬です。日本で承認されている使い方は、添付文書では次の2つです。

  • 2型糖尿病(食事療法・運動療法などで十分な効果が得られない場合)
  • 多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発(肥満、耐糖能異常、インスリン抵抗性のいずれかがある方に限る)

肥満症や、ダイエット、体重の維持を目的とした使い方は、承認されていません。また、メトホルミンは劇薬・処方箋医薬品で、ドラッグストアや通販では買えません。出典:メトグルコ添付文書(JAPIC・KEGG掲載)。

マンジャロ(チルゼパチド)との違いを、表にまとめます。

項目マンジャロメトホルミン
薬の分類GIP/GLP-1受容体作動薬ビグアナイド系
国内の承認(効能)2型糖尿病(肥満症は、同じ成分の別製品「ゼップバウンド」が条件つきで承認)2型糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群での排卵誘発
使い方週1回の皮下注射飲み薬(1日2〜3回に分けて食直前または食後)

出典:ゼップバウンド 審議結果報告書(PMDA)、メトグルコ添付文書。

「マンジャロからメトホルミンへ」は有効?根拠の現状

資料を確認する医師のイメージ

インターネット上では、「マンジャロをやめたらメトホルミンでリバウンドを防ぐ」という情報を見かけます。ただ、医学的な根拠は十分とは言えません。

  • SURMOUNT-4で調べられたのは「チルゼパチドを続ける」か「偽薬に替える」かの比較で、メトホルミンに切り替えた場合は調べられていません
  • マンジャロ中止後にメトホルミンへ移行すると体重戻りを防げるかを直接調べた大規模な試験は、確認できていません
  • メトホルミンの効能に「肥満症」はなく、体重の維持目的での有効性と安全性は、承認の範囲では確かめられていません

メトホルミンは血糖を下げるための薬で、肥満症の治療薬として承認された薬ではありません。マンジャロの体重減少効果を引き継ぐ薬とは言えないため、「メトホルミンで体重が維持できる」と期待して切り替えるのはおすすめできません。

メトホルミンを検討するときに確認したいこと

診察室での相談のイメージ

糖尿病などで、すでにメトホルミンを処方される状況にある方は、次の点を主治医と確認してください。

副作用は消化器症状が中心

添付文書には、副作用として下痢(40.5%)、吐き気(15.4%)、食欲不振(11.8%)、腹痛(11.5%)などが載っています。軽い薬というわけではなく、消化器症状は少なくない頻度で起こります。まれに重い乳酸アシドーシスが起こることもあり、腎機能や肝機能の確認が必要です。

服用できない人がいる

重い腎機能障害(eGFR 30未満)や重い肝機能障害のある方、過度の飲酒をする方、脱水のある方、妊娠中・妊娠の可能性がある方などは、メトホルミンを使えません(禁忌)。診察と検査なしに使い始めるのは危険です。

自己判断・個人輸入は避ける

通販や個人輸入で入手するのは避けてください。偽造品が混ざるおそれがあり、診察や検査なしで使うと、腎機能などを確認できないまま飲むことになります。

マンジャロをやめる前に、医師と決めておきたいこと

手帳に記録するイメージ

薬の切り替えより前に、次のことを処方している医師と話しておくと安心です。

  1. いつまで続けるか、やめる目安はどこか
  2. やめたあとの体重測定の頻度と、体重が増えたときの連絡のしかた
  3. 食事と運動をどう続けるか(管理栄養士の指導を受けられるか)
  4. 体重の戻りが心配なときに、治療を続ける・別の方法に変えるといった選択肢があるか

マンジャロをやめる・量を変えるときは、自己判断でせず、必ず処方している医師と相談してください。

体重の不安や過食で気持ちが落ち着かないとき

考え込む人のイメージ

体重が戻ることへの不安や、食欲の変化で、気持ちが不安定になる方もいます。食べ過ぎてしまう、気分の落ち込みが続く、眠れないといった状態が続くときは、体重の管理とは別に、心療内科・精神科に相談する方法もあります。

惟心会(月島院・豊洲院)は、精神科専門医10名以上が在籍する、駅から徒歩2分のクリニックです。気分や睡眠、ストレスの悩みについて相談できます。マンジャロやメトホルミンの調整は、処方している医師と相談して進めてください。

まとめ

マンジャロをやめると、体重は戻りやすくなります。体重の維持だけを目的にメトホルミンへ切り替えることは、承認された使い方ではなく、戻りを防ぐ効果を示した十分な根拠もありません。

  • やめる前に、処方している医師と「やめ方」と「やめたあとの管理」を決めておく
  • メトホルミンは自己判断で使わず、通販・個人輸入も避ける
  • 不安や過食が続くときは、心療内科・精神科にも相談できる

よくある質問

マンジャロをやめたら、どのくらい体重が戻りますか?

SURMOUNT-4では、偽薬に切り替えた群で、52週間に36週時点の体重から平均14%増えました。個人差が大きく、全員が同じように戻るわけではありません。

メトホルミンはマンジャロの代わりになりますか?

代わりにはなりません。薬の種類も承認された使い方も違います。メトホルミンに切り替えて体重を維持できるという根拠は、十分には示されていません。

糖尿病でなくても、メトホルミンは処方してもらえますか?

メトホルミンは2型糖尿病などの薬で、体重管理だけの目的は承認された使い方ではありません。処方するかどうかは、医師の判断と医療機関の方針によります。通販や個人輸入で手に入れるのは避けてください。

マンジャロを少しずつ減らせば、体重は戻りませんか?

減らし方で体重の戻りが変わるかどうかは、SURMOUNT-4では調べられていません。やめ方は、体重の経過を見ながら処方医と相談して決めてください。

目次