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【健康講話 2025年12月】冬の乾燥対策!肌・喉・目を守るセルフケア

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――乾燥がもたらす見えない体調変化と科学的アプローチ――

冬のオフィスや自宅では、気温だけでなく、「湿度の低下」が心身に影響を及ぼします。気象庁のデータでは、東京都心の平均湿度は夏季(8月)で約75%、冬季(1月)には45%前後まで低下します。暖房使用時の室内湿度はさらに低く、20%台になることも珍しくありません

こうした乾燥は、肌荒れや喉の不快感、ドライアイだけでなく、睡眠の質の低下や免疫の弱まりといった、仕事のパフォーマンスにも影響する変化をもたらします。ここでは、科学的根拠に基づく冬の乾燥への向き合い方をご紹介します。

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目次

1. 乾燥が体に与える生理的変化

■ 肌のバリア機能低下

湿度40%を下回る環境では、角層中の水分保持成分(NMF・セラミドなど)が急速に減少し、角層水分量が20%以下になると細胞のつながりが緩みます。その結果、外的刺激に弱くなり、かゆみ、赤み、ひび割れが起こりやすくなります。これが慢性の手荒れや皮膚炎につながります。

■ 粘膜の乾燥と感染リスク

鼻や喉の粘膜は乾燥に弱く、湿度40%以下では繊毛運動が低下し、ウイルス排出能力が落ちてしまいます。

湿度 ウイルスへの影響
湿度20% 空中でウイルスが長時間生存
湿度50%以上 ウイルスが重くなり早く落下、不活化しやすい

国内疫学データでも湿度40%以下の日が続くとインフルエンザ感染率が優位に上昇する傾向が確認されており、乾燥はウイルスにとって「活動しやすい環境」ということなのです。

■ 乾燥は睡眠を妨げる!

乾燥環境(湿度30%)と比べ、湿度50%の睡眠環境では深睡眠時間が約15%増加、覚醒回数が少なかったとの研究が報告されています。

鼻・喉が乾燥すると口呼吸が増え、いびきや無呼吸様症状が現れやすく、睡眠の連続性が失われます。また気道の神経が乾燥刺激を受けると軽い咳や呼吸不快が起こり、短時間覚醒が増える原因になります。

2. 肌を守るスキンケア

乾燥肌の最大の原因は「皮脂・セラミドの流出」と「角層細胞の隙間化」です。これを防ぐには、“落としすぎない洗浄”と”早めの保湿”が鍵。

  • 入浴温度は38℃前後のぬるめに
    皮脂膜を保ちながら毛穴が開く理想温度です。
  • 入浴後10分以内の保湿が鉄則
    入浴直後は水分蒸発が最大。早めの保湿で角層に水分を閉じ込めます。
  • 洗浄力の強すぎる石けんは避ける
    保湿成分を含む低刺激タイプを選びましょう。
  • アルコール手指消毒後は必ず保湿
    アルコールは脂質を溶かし、揮発時に皮膚表面の水分を奪うため、セラミド・ワセリン入りのハンドクリームが効果的。

3. 喉と鼻のセルフケア

■ 最適湿度「50〜60%」を意識

ウイルスの生存を抑え、粘膜の機能を最も保ちやすい湿度です。加湿器が使えない場合、濡れタオルや観葉植物でも一定の加湿が可能です。

■ 唾液分泌と免疫

喉の乾燥は、粘膜免疫の主役であるIgAの分泌を減らします。水分摂取やガム・のど飴による唾液分泌の促進が、粘膜のバリア力を高めてくれます。

■ 鼻うがいの利点

生理食塩水による鼻うがいは、ウイルスやアレルゲンの除去に加え、鼻腔内の湿度を保つことで呼吸のしやすさを高め、睡眠の深さの改善にもつながると報告されています。

4. ドライアイへの具体的対策

乾燥したオフィスでの長時間PC作業は、涙液の蒸発と油膜破壊を招きます。これにより角膜表面が不安定となり、疲れ・異物感・かすみを生じます。

■ 生活環境の工夫

  • エアコンの風を顔に当てない
  • デスク上に小型の加湿方法を取り入れる
  • 20-20-20ルール(20分ごとに20秒、6m先を見る)
  • ホットアイマスクで涙液の安定性を高める

■ 点眼薬の種類と特徴

人工涙液タイプ
涙液の浸透圧を調整し、短時間の潤い補給に。

高粘度タイプ(ヒアルロン酸やコンドロイチン配合など)
角膜に保湿膜を形成し、涙の蒸発を防ぐ。ヒアルロン酸は自重の約1000倍の水分保持力を持ちます。

油層補強タイプ
涙液の最表層である油膜を補い、蒸発を防ぐ。

  • 開封済みの目薬は、早めに使い切りましょう。市販目薬の目安は一般的に1〜3ヶ月、防腐剤無添加の目薬は10日以内など定められていることが多く、使い捨ての1回分タイプも一般的です。
  • 清涼感のあるタイプは “冷たさを感じる神経”を刺激するだけで涙の質を改善せず、涙の成分バランスが崩れて涙が蒸発しやすくなる、目の表面の炎症が悪化するなど、ドライアイを悪化させやすくなりますので要注意です。

5. 内側から潤す栄養習慣

乾燥に負けない体をつくるためには、皮膚・粘膜を守る栄養素を意識して摂取しましょう。

  • ビタミンA(レバー・卵黄・緑黄色野菜):粘膜の強化
  • ビタミンE(ナッツ類・アボカド):末梢血流を改善、肌の代謝を助ける
  • オメガ3脂肪酸(青魚・えごま油):炎症を抑え、皮膚の水分保持作用

アルコールやカフェインは体内の水分を奪いやすいため、冬は特に摂りすぎに注意を。

6. 衣類と素材の工夫で乾燥ストレスを軽減

冬は衣類の素材選びも乾燥対策の一部です。とくに肌が敏感になる季節は、衣類と皮膚の摩擦が刺激となり、かゆみや赤みを引き起こすことがあります。

■ 肌に優しい素材

  • 綿(コットン)、シルク:摩擦が少なく保湿性が高い
  • ウールは暖かいものの、敏感肌の方には刺激が強いことも

■ 静電気による刺激の軽減

乾燥した肌は静電気が発生しやすく、衣類や椅子との摩擦で「バチッ」と痛みを感じることがあります。湿度が上がると静電気は大幅に減少するため、肌と空間の保湿が同時に対策になります。

■ 衣類の乾燥は皮膚トラブルの原因に

乾燥したニット素材は繊維の角が立ち、摩擦が強くなりがち。柔軟剤やスチームで繊維を整えると、肌当たりがやわらぎ刺激が軽減します。

7. 冬特有の「静電気」と乾燥の関係

静電気は単なる不快感だけでなく、体が発する”乾燥サイン”でもあります。角層の水分が不足すると電気を逃しにくくなり、帯電しやすい状態に。

■ 科学的ポイント

  • 湿度50%以上では静電気の発生が著減
  • 保湿された肌は電気を放電しやすい

■ 実践例

  • ハンドクリームで皮膚の水分経路を整える
  • 帯電しにくい綿素材を選ぶ
  • 椅子や床に帯電防止スプレーを活用

8. 「冬の脱水」に要注意 ― 仕事の集中力との深い関係

冬は喉の渇きを感じにくいため、実は脱水になりやすい季節です。乾燥により皮膚からの不感蒸泄が増え、水分損失は思った以上に進んでいます。冬ほど「意識して飲む習慣」が必要になります。

■ 冬の脱水の影響

  • 集中力や判断力の低下
  • 倦怠感や頭痛
  • 思考のスピード低下

研究では体内水分が2%不足しただけで認知機能が低下することが報告されています。

■ 簡単にできる対策

  • 1時間にコップ半分の水を意識
  • 温かい白湯は体温維持にもおすすめ
  • コーヒー・紅茶を飲んだらひと口の水を追加

9. 乾燥を”整えるサイン”として活かす

乾燥は、血流・睡眠・水分摂取・生活環境などを映し出す“体からのメッセージ”です。「加湿」「保湿」「補水」をバランスよく取り入れることで、免疫力・集中力・睡眠の質が確かに整います。

  • 小型加湿手段をデスクに
  • ホットアイマスクを寝る前に5分
  • 入浴後10分以内の保湿
  • 人工涙液を一日2回
  • 水をこまめに飲む

どれか一つでも取り入れると、その日から体の軽さや集中のしやすさが変わることが多いもの。自分の体からのサインを見逃さず、快適な冬をお過ごしください。

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