コラム

【健康講話 2026年4月】 春のだるさの正体― 自律神経・鉄・甲状腺から読み解く ―

適応障害の回復過程と障害者手帳の更新手続きのタイムライン
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4月になると、「理由ははっきりしないが調子が出ない」「朝の立ち上がりが重い」「集中が続かない」といった声が増えてきます。

こうした状態は、「季節の変わり目の不調」とも言われます。

新年度の忙しさの影響ももちろんありますが、それだけでは説明しきれない体の変化が、この時期には重なっています。

春のだるさは、体が環境に適応しようとする過程で起こる”軽いバランスの乱れ”と捉えると理解しやすくなります。

今回は、「自律神経」「」「甲状腺」という3つの視点から、その背景と対処を整理します。

目次

春という季節が体に与える影響

春は、体にとって想像以上に変化の大きい季節です。

  • 朝晩と日中の気温差
  • 日照時間の変化
  • 新しい環境や人間関係

これらはすべて、体のバランスを保つ仕組みに負担をかけます。

特にデスクワーク中心の生活では、体を動かす機会が少なく、体調を整える働きが弱くなりやすいため、小さな乱れがそのまま「だるさ」として現れやすくなります。

① 自律神経:春の不調の出発点

春のだるさの多くは、自律神経の乱れから始まります。

自律神経は、活動と休息のバランスを調整する役割を担っていますが、春はその切り替えが乱れやすい季節です。

  • 気温差による体温調整の負担
  • 日照変化による体内時計のずれ
  • 環境変化によるストレス

これらが重なることで、交感神経が優位な状態が続きやすくなります。

その結果、

  • 眠っていても十分に休めていないので、寝ても回復しきらない
  • リズムがリセットされにくいので、朝のスイッチが入りにくい
  • 夜に回復しきれていないと、日中エネルギーが切れてしまうので、日中に眠気やだるさが出たり、集中力が持続しない、注意力が散漫になったりする

といった状態につながります。

自律神経を整えるための具体策

ここで重要なのは、「生活のリズムを体に思い出させること」です。

■ 睡眠の質を整える

  • 就寝1時間前は強い光(特にスマートフォン)を避ける
  • 起床時間を一定にする(休日も大きくずらさない)

睡眠時間そのものよりも、「一定のリズム」が自律神経の安定には重要です。

■ 入浴で切り替えをつくる

  • 38〜40℃のぬるめのお湯に10〜15分浸かる

入浴は、副交感神経を優位にし、「活動モードから休息モードへの切り替え」を助けます。

シャワーだけで済ませる日が続くと、この切り替えが不十分になりやすい点には注意が必要です。

■ 朝の光と軽い運動

  • 起床後5〜10分の外光
  • 軽いウォーキングやストレッチ

これらは体内時計をリセットし、日中の覚醒レベルを引き上げます。

② 鉄不足:見逃されやすい「エネルギーの土台」

自律神経の影響がベースにありつつも、 「どうも回復しきらないだるさ」が続く場合、鉄不足が関係していることがあります。

鉄は、血液で酸素を運ぶという役割があるため、鉄不足になると各臓器への酸素供給が不安定となり、様々な不調のサインが現れます。

また、鉄は体内でエネルギーを作る過程にも関わってるため、貧血と診断されるほどでなくても、体内の鉄の蓄え(フェリチン)が不足すると、体のエネルギー効率が下がり、疲れやすさや集中力低下として現れることがあります。

ヘモグロビン値の目安

一般的に、

  • 女性:12 g/dL未満
  • 男性:13 g/dL未満

で貧血とされますが、実際には正常範囲内でも、フェリチンが低い場合に不調を感じることがあります(かくれ貧血)。

血液検査では見落とされやすく、かくれ貧血(=潜在性鉄欠乏)とも呼ばれています。月経のある女性のうち、潜在性鉄欠乏の状態にある人は約4割にのぼるとも言われています。

よく見られるサイン

  • 疲れが抜けにくい
  • 慢性的な肩こり、動悸、耳鳴り、冷え症
  • 階段で息が上がりやすい
  • あざやうちみ、肌荒れ、口角炎などできやすい
  • イライラしやすい、集中力が落ちる

食事での工夫

単に「バランスよく」ではなく、意識的な設計が有効です。

  • 赤身肉(牛・豚)やレバー
  • 魚(特にかつお、まぐろ)
  • 大豆製品、小豆、ひじきなど

に加えて、

  • ビタミンC(野菜・果物)と一緒に摂る
  • 食後すぐのコーヒーやお茶を避ける

ことで、吸収率が変わります。

「軽く済ませる食事」が続いていると感じたときは、まずここを見直す価値があります。

③ 甲状腺:見逃したくないホルモンの影響

頻度は高くありませんが、だるさが長引く場合、甲状腺の働きが影響していることもあります。

甲状腺ホルモンは、体の代謝やエネルギーの使い方を調整しています。

春は環境変化によるストレスが大きく、ホルモンバランスが揺らぎやすい時期です。

こんな症状に注意

(甲状腺機能の低下傾向)

  • 強いだるさ
  • 気分の落ち込み
  • 冷え、むくみ

(甲状腺機能の亢進傾向)

  • 動悸
  • 不安感
  • 寝つきの悪さ

「これまでと違う疲れ方が続く」場合は、一度検査で確認しておくと安心です。

日常でできる整え方(まとめ)

春の不調は、特別なことをしなくても、日常の少しの調整で改善することが多いものです。

  • 朝の光でリズムを整える
  • 軽い運動で血流を動かす
  • 入浴で切り替えをつくる
  • 鉄を意識した食事をとる
  • こまめに休むことで、効率アップを図る

ポイントは、「頑張ること」ではなく、「整えること」です。

受診の目安

以下の場合は、医療機関での相談も検討してください。

  • だるさが2〜3週間以上続く
  • 仕事や日常生活に影響が出ている
  • 動悸や息切れがある
  • 気分の落ち込みが強い

血液検査で原因が明らかになることもあり、対処がしやすくなります。

おわりに

春のだるさは、体が環境の変化に適応しようとしているサインです。

少し調子が出ないときに、「気合いが足りない」と考える必要はありません。

むしろ、「今は整えるタイミング」と捉える方が、結果的に良いコンディションにつながります。

新年度はスタートダッシュが求められる時期でもありますが、

安定して働くためには、「整えてから動く」という視点が大切です。

ほんの少し生活を見直すだけでも、体は確実に応えてくれます。

この春を、無理なく乗り切るヒントとしてお役立ていただければ幸いです。

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